野球肘予防のために その1 チーム内で野球肘になりそうな子を見つけるには…

少年野球の子供たちは、自分の通っている小学校にあるチームにとりあえず入って、数少ないボランティアの指導者によって指導を受けているのが現状と思います。指導者がたくさんいて充実した指導を受けて、などというのは都会のほうで指導者に報酬が出せるような月謝が高いチームしかないのではと思われます。
日本の大部分を占める野球の底辺を支える少年野球チームにおいて、発症率が20%とも言われている野球肘予防は大きな課題です。野球肘を予防する重要なポイントは1)投球数の制限、と、2)フォームの注意、であって、この2)に対しては何しろ指導者が少ないですから、子供たち一人一人にマンツーマンでフォームの指導を行うことはできません。しかしこのフォームを注意することが予防には重要なのです。
父が野球肘予防の啓蒙活動に用いているスライドです(モデルはKANA)。
古いバージョン

新しいバージョン

古いバージョンの頃はコッキング期のみを重要視していました。しかしいわゆる肘下がりの子でなくても野球肘を発症する子がいるので、新しいバージョンのものでは「加速期からフォロースルーで肘が伸びて大きく振り出せているか(前が大きい)」も重点ポイントにしました。
以上をまとめて、野球肘研究家の父がレンジャーズの選手たちをここ数年間見てきた経験から、野球肘になりそうな子を見つけるポイントを2つ述べます。
1)コッキング期に肘が下がっている子
これはいろいろなところで言われている有名なポイントです。肘が下がると肩の内外旋可動域が減って、ここから加速期に入って肘に外反力が加わるというものです。
2)ボールリリース時に肘が曲がっている子
レンジャーズの中でもコッキング期に肘が下がっていないのに野球肘になる子が何人かいました。どうしてだろう、何が原因なんだろう、と考えていましたが、フォームをよく観察しているとリリースするときに肘が伸びていない子が結構いるのです。
本当にフォームをチェックするには、下肢や体幹の柔軟性など体全部のことを見なければいけませんが、そこまでの指導をできるほどの少年野球チームはなかなかないと思います。少ない指導者で何とか運営されている現状の少年野球チームにおいて、少しでも野球肘になる子が少なくなるための参考にしていただければ幸いです。